『ピンク色の研究 A Study in Pink』
シャーロック・ホームズとジョン・ワトソン
アフガニスタンの戦場で軍医として派遣されていたジョン・ワトソンは、脚を負傷してロンドンで療養していた。戦場の悪夢でうなされる彼は、セラピストからブログを書くことを進められるがなかなか書き出せないでいた。
元同僚のマイクと偶然出会うと、彼に軍の恩給じゃ続かないとジョンはグチをもらす。マイクはルームシェアをおすすめしてくるのだが、「誰が僕なんかと」と答えると、同じことを言った男がいたぞと、その男の所へと行くことになる。
シャーロク・ホームズは、彼の仕事場へと訪れたマイクとジョンに見向きもせず、開口一番携帯を借りたいと言う。矢継ぎ早にジョンに質問し、「明日7時に現地で」と言いたいことだけ言って足早に去っていく。ジョンはお互いのことも住所も知らないと言い、あきれるが、ホームズはジョンのことを何でも知っているように的確に言い当てて帰っていくのだった。
次の日、同居する家にきたジョン。シャーロックから、家主のハドソン夫人が特別料金で提供してくれていると聞く。以前、彼女の夫の死刑判決に関して手助けしたからだそうだ。家の中に入ると、ハドソン夫人が出迎えてくれるが、部屋の中はすでにシャーロックの私物で散らかっているのだった。ジョンは「君を検索して、君のサイトの”推理の科学”をみた」と話す。そこに夫人が、この連続自殺事件はあなた向きだとシャーロックに新聞を見せる。夫人が「3人が同じ死に方を・・・」と話したところで、シャーロックは家の外に止まったパトカーを見て、「4人、今度は何かが違うようだ」と言う。部屋に入ってきたレストレード警部は、「場所はブリクストン、今度は書き置きがあった」とシャーロクに伝え帰っていく。刑事が帰ると、シャーロックは「やった!最高!連続自殺4件に書き置きとは!」と、飛び跳ね、楽しそうに出掛ける。取り残されたジョンが呆然としながら新聞で連続自殺の記事を読んでいると、シャーロックが戻ってきて「軍医だよね?腕前は?」と聞いてくる。優秀だし、死体は人の一生分経験したよと話すジョンに、もっと見たい?と誘うと、2人で出掛けることが決定する。シャーロックは夫人に「面白い事件が起きた!家で座っている手はない」と不謹慎発言をして、「ゲームがはじまった」と出掛けるのだった。
連続自殺事件
性別も年齢も異なる3人が立て続けに自殺をした。同じ毒物が使用されたため、警察は連続事件として会見を開く。その後、一人の女性がまたピンクの錠剤が入った敏に手を伸ばすのだった。
タクシーで現場へ向かう途中、シャーロックはジョンの疑問に答えつつ、自分の推理を披露する。アフガニスタン、軍医、心因性、兄がいると分かった理由など・・・。淀みなく言い当てるシャーロックにジョンは「見事だ」と褒める。他の人たちは皆「うせろ!」という反応を示すため、シャーロックは珍しい反応だと驚くのだった。
だが、ジョンが兄ハリーというのは”ハリエット”の略だというと、「姉か!」と、シャーロックは心底悔しがるのだった。
現場のブリクストンの建物につくと、サリー・ドノヴァン巡査部長から「変人きた」と言われ、中に入れてもらえる。シャーロックは部屋の中で死んでいる女性を観察すると、床の文字はRachel、指輪の状態から浮気相手が何人もいること、襟の中まで濡れたコートからは、雨と強風のあったカーディフから来たことを、そして、右足の泥はねからは小さなスーツケースを持ってたことを推理し、これは自殺ではなく連続殺人だという。スーツケースが発見されてないため、犯人が持ち去ったと考えるシャーロックは、レストレード警部にレイチェルを調べろと伝え、「狡猾な殺人犯はもうミスを犯している」と、どこかに行ってしまう。
取り残されたジョンは一人で建物からでると、サリー巡査部長に「シャーロックは犯罪に興奮する、そのうち自分で人を殺すようになるでしょうね」と言われ、彼には近づかないほうが良いと忠告されるのだった。
ジョンがタクシーで帰ろうと歩き出すと、近くの公衆電話が鳴り出す。素通りし歩き出すが、また近くの電話が鳴り出す。3つ目の公衆電話が鳴り、彼が不審に思いつつ電話に出ると、近くの建物の防犯カメラを見るように何者かに指示されるのだった。3方向にあった防犯カメラを、ジョンが映らない角度に調整するのを見せると、車が到着して乗るように指示が出る。行き先が分からないまま到着した先には、一人の男が待ち構えていた。
シャーロックの宿敵だという男は、彼とジョンとの関係を聞いてきて、もしあの家に引っ越すなら、生活が楽になるだけの報酬を出すと提案する。引き換えにシャーロクの情報が欲しいのだという。男と話してる最中にシャーロックからメールがくる「都合が良ければすぐ来い」「悪くても来い」。男の提案にジョンは興味が無いと断り、立ち去ろうとするが、男はジョンの左手のけいれんの問題を話題に出し、「今は震えてない、君は戦場を嫌ってない 復帰したね」と、去っていく。先ほどの車で家まで送ってもらう途中、ジョンは前の家に寄り、デスクから銃を取り出すのだった。
家に帰るとシャーロックがニコチンパッチ3枚を腕に張り、思考力を高めていた。宿敵に会ったとシャーロックに話すと、金銭の申し出は次回は受け取っておいてと言われてしまう。メールの要件は、ジョンの携帯で被害者ジェニファーの番号にメールを送って欲しいということだった。
”何があったの? 私 記憶が飛んでるの”
”ノーサンバランド通り22へ来てね”と送る。
そしてシャーロックは被害者のピンクのスーツケースを開け始めた。犯人が被害者を車で現場に連れてきたとき、偶然車中に残ったんだろう。男がピンクのスーツケースと一緒だと目立つから捨てるはずと思ったシャーロックは、現場から5分圏内の粗大ゴミを投棄できる裏通りを調べたのだという。だが、番号が分かってるのに、携帯だけ見つからないのだ。すると、非通知でジョンの携帯に電話がかかってくる。ただの拾った人であればメールを無視するが、犯人ならあわててかけてくる。2人はノーサンバランドへと出かけていく。
2人が22番地が見える店で張り込んでいると、路地に誰も降りてこないタクシーが止まる。不審に思いシャーロックが外に出るとタクシーは急発進するのだった。ジョンも杖を忘れたまま外に出る。シャーロックは路地の構造と標識の配置で、タクシーの通過する場所を予測すると路地の中を近道で走り抜ける。2人はタクシーを捕まえるのだが、怪しい乗客はただの観光にきていた外国人だった。
2人が家に帰ると、シャーロックはただの時間つぶしとあることを確かめるためだったと話し、夫人にジョンが入居を決めたことを報告する。彼は勝手にジョンと同居することを決めたようだ。そして、先ほどの店の店主アンジェロがジョンの杖を持ってくると、ジョンは自分が杖なしで歩いてたことに気づくのだった。
2人の部屋にはレストレード警部やサリー巡査部長たちがきていて、薬物疑惑で家宅捜査していた。シャーロックが事件に協力的ではないから怒ってるようだ。お互いの腕のニコチンパッチで和解すると、レストレード警部は”レイチェル”はジェニファーの娘で、しかも14年前に死産で死んだ娘だと伝える。死産した娘の名前を、死ぬ直前に床に刻んだことを疑問視するシャーロックは、あることに気づく。
賢い彼女は、車から降りるとき死を予感し、携帯を犯人のもとにわざと残したんだと。レイチェルは名前ではなく、パスワード。これで携帯を紛失した際にGPSで追跡できるのだが、なぜか彼女の携帯の場所は今いる場所を示していた。先ほどから夫人がタクシーがきていると言っていた、そのタクシーの運転手がシャーロックの携帯に一緒に来るようにメールを送信する。
一人で外に出たシャーロックは、犯人である運転手と対峙する。素直に捕まるよと言う運転手は、4人と話してたら勝手に死んだと言う。でも今警察を呼んだら、4人に何の話しをしたかは教えないとシャーロックを挑発するのだった。運転手はシャーロックを乗せてタクシーを発進させると、「あんたのファンが警告してくれたから、サイトも見て顔を知っていた」と話す。シャーロックは運転席にある子供の写真を見つけるのだった。専門学校の校舎につくと中に入るように促される。他の被害者たちには銃で脅して従わせていたようだ。
その頃、レストレード警部たちは部屋から撤収していく。シャーロックがタクシーに乗ったのを見ていたジョンはGPSがまた動き出すのを見て、家を飛び出していた。警察にも緊急の連絡を入れ、GPSを追跡し、校舎にたどりつくのだった。
運転手はピンクの錠剤の入った瓶を2つ取り出し、シャーロックに選ぶように言う。当たりとハズレがあり、シャーロックが選ばなかった方を自分が、2人同じタイミングで飲むのだと説明する。運転手は「これで4回勝った、偶然ではない、チェス、1手だけのチェス」と、一方の瓶をシャーロックの前に出すのだった。巧みな話術で誘導する運転手に、今度は自分の番だとシャーロックは話し出す。耳の後ろに残るひげそりフォームと、タクシーの中で見た妻を切り離した家族写真から、妻と子供に出て行かれたと推理する。洗濯済みの服だが買って3年たつこと、捨て身の殺人方法に死が近いことを悟る。運転手は頭に動脈瘤があるのだという。子供に対して何も残せないがスポンサーがいるという。殺せば殺すほど遺産が子供に遺せる仕組みだという。そのスポンサーはシャーロックのファンであり、殺人を愛する人間を超えた存在だと話す。
錠剤を選ばない場合は銃で殺すのだと説明するが、その銃はただのライターだった。見破ってたシャーロックは立ち去ろうとするが、運転手は「どっちか分かったか?」と挑発してきた。運転手の手前にあった瓶を掴むと、2人で錠剤を口に運ぶのだった。
錠剤を飲む直前、運転手は別の校舎にいた何者かに胸を撃たれ、シャーロックも我にかえるのだった。シャーロックは運転手が死ぬ前にスポンサーを教えろと、撃たれた箇所を踏んで拷問すると、「モリアーティ」と叫び彼は息絶えてしまった。
警察が来てシャーロックを保護するが、運転手を撃った犯人は見つかっていないようだ。シャーロックは狙撃犯を推理しだすが、途中でジョンだと気づくと推理を披露するのをやめるのだった。シャーロックとジョンがどこかで夕食をとろうと歩き出すと、宿敵がやってくる。男は「我々の確執がママを困らせている」と言い出す。宿敵の男はシャーロックの兄マイクロフトだったのだ。
感想
見始めました、シャーロック。何度か目にはとまっていたのですが、先延ばしにしてしまっていたこのドラマ、シーズン4がイギリスで放送されたと聞いたのでこの機会に視聴しちゃいます。1シーズンに3エピソードしかないことに、少なっ!って思ったけど、1話がメチャ長く感じました。通常の2倍ぐらいあるんですね。イギリスのドラマということもあり、暗いですね。こればっかりは太陽のあまりささない国だから仕方ないですが、建物や路地裏の古い感じが良いです。
初っ端からシャーロックさんのしゃべるスピードに圧倒されましたが、流暢に話す彼も黙っている彼もなかなかセクシーです。とりあえず女性のモリーがお笑い担当なのかな、死体の前でコーヒー誘う彼女もすごいが、君は口が小さいからというシャーロックも、彼自身が言うようにソシオパスだな。ハドソン夫人の夫の死刑を助けたのは、死刑確定にするように助けたとか、店主のアンジェロも強盗してたことを立証して殺人罪から助けてあげるという。周りも結構濃厚な方たちが多いようです。でも、友達がいなくていつも骸骨に推理の話し相手になってもらうという孤独なシャーロック。ジョンや警部たちの前で「昔の話しに動揺するかよっ」って言って、みんなにシラーッとされちゃって弱気になる彼が愛らしいです。シャーロックは天才なんだろうが、ジョンが意外に1枚上手のようです。